
身体介護の基本として『3大介護』というものがあります。
3大介護とは「食事」「排泄」「入浴」のことで、日常生活を営む上で基本となる介護のことです。
その中でも在宅介護をする際、介助量と危険が大きいのが『入浴』です。
◆「家のお風呂に入りたいと言われるけど不安で入れてあげられない」
◆「お風呂の環境を入りやすい環境に変えたい」
◆「そもそも入浴する際、何に注意していいか分からない」
このような疑問、不安がある方は多くいらっしゃるかと思いますので『入浴』の基本について、理学療法士の視点をふまえつつ分かりやすく説明します!!
お風呂は日本人にとって大切な習慣

海外ではシャワーで清潔保持を行い、湯船は必要としない国が多くあります。
しかし、日本人にとってお風呂は一日の区切りになる大切な習慣です。
そのため日本の施設では、体の不自由な方でも湯船に浸かれるように機械浴(特殊浴槽)が広まりました。
機械浴には特殊なイスに座ったまま入る『チェア浴』や横になったまま入る『寝台浴』などがあります。

◆「自分はもう普通のお風呂にも入れないのか」
◆「そんなに体が悪くなってしまったのか」
と悲観的になってしまうのです。
また、怖さや恥ずかしさを訴える方も少なくありません。
在宅でのお風呂介助が不安でデイサービス(通所介護)やデイケア(通所リハビリ)に通ったときにお風呂に入れてもらっているという方も多いかと思いますが、どのようなお風呂で入っていますか??
もしかしたら上記のような悲観的な気持ちになったり、怖さや恥ずかしさを感じながらお風呂に入っているかもしれません。
どうしても体の状況から介護のプロにお願いしないといけないこともあるかと思います。
しかし、少しの工夫で自宅のお風呂に入れる方に関しては、辛い思いをさせないために可能な限り自宅のお風呂で入ってもらうことをおすすめします。
『入浴』の5つの注意点

入浴は清潔を保って感染症を予防でき、さらに気分をさっぱりさせる効果もあります。
一方で、体力の消耗や転倒による怪我、血圧の上昇などの危険も伴います。
安全で快適に入浴するためにはいくつかの注意が必要です。
①事前の体調チェックをしよう
元気がなく、顔色がよくない時は入浴は控えるのべきでしょう。
脳卒中の既往や心臓病、高血圧症がある場合は入浴に適さない血圧値を医師に聞き、血圧を測定してから入浴するのが望ましいでしょう。
②入浴を避けた方が良い時間がある
食事前後1時間での入浴は消化管での栄養素の吸収を妨げたり、腸の蠕動運動が低下したりと消化機能が低下してしまうため避けた方が良いでしょう。
③水分補給は大切
入浴は体力を使い、汗も出ます。脱水にならないよう、入浴前後にコップ1杯程度の水分補給をするようにしましょう。
④お湯の温度と量に注意しよう
熱いお湯は心臓に負担をかけます。お湯の温度は38℃〜39℃程度のぬるめに設定してゆっくり温まりましょう。
また、体力が低下している方や心臓病の方は肩まで浸かると負担がかかりますので、心臓が水面から出る程度の湯量にしましょう。寒い場合は肩にタオルをかけることで冷えを防ぐことができます。
⑤温度差に注意しよう
急激な温度変化は失神や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす危険があります。
脱衣所が寒い場合はヒーターなどで温かくし、浴室が寒い場合は3分程シャワーを出して温めましょう。
まとめ

基本的なことだけでなく、入浴介助のコツや入浴介助に使える便利グッズについての記事も近日中に書く予定ですので是非読んで頂けると嬉しいです!!
◆日本人にとってお風呂は一日の区切りになる大切な習慣
◆機械浴での入浴は精神的ダメージを受ける方も少なくない
◆辛い思いをさせないために、可能な限り自宅に入ってもらう工夫が大切
①事前の体調チェックをしよう
②入浴を避けた方が良い時間がある
③水分補給は大切
④お湯の温度と量に注意しよう
⑤温度差に注意しよう